テレワークは「週2~3日」がベスト? 転職希望者の多くがフルリモートを望まない理由
- 茂 鈴木

- 2022年5月1日
- 読了時間: 3分

2020年はかなりテレワークをしていたけれど、2021年の東京オリンピック以降、「完全出社に戻った」という声も聞こえてくるようになった。テレワークはコロナ禍の要請によって一時的に導入されていると考えがちだが、それは間違いと言える。
総務省がいうテレワークは、大きく【1】在宅勤務、【2】モバイルワーク、【3】サテライトオフィス勤務に分けられる。導入により期待される効果は幅広く、働き方改革、労働人口の確保、生産性の向上、非常時の業務継続、オフィスコストの削減、育児・介護との両立などに加え、地方創生の効果もあるという。
テレワークが確立されれば、大都市部への集中が是正され、地方移住も促進されるだろうとの思惑がある。実際、東京郊外のベッドタウンでは地価の上昇が認められている。労働人口の確保や生産性の向上は、今後も喫緊の課題として認識され続けるはずだ。
つまり、コロナ禍が終わってもテレワークの必要性は失われないということになる。どうせやることになるのなら、テレワークのメリットとデメリットを認識したうえで上手に働きたいものだ。場合によってはテレワークの有無が転職の際の重要な判断要素になることもあるだろう。
NEWSポストセブン「転職研究室」が転職(活動を含む)を経験した20~60代の男女に実施した「テレワークへの意識」についてのアンケートで、テレワークの希望頻度について聞いた結果が興味深い。
「毎日(週5日)テレワークしたい」と答えた人は、2割強(261人中59人)だった。以下、「週4日」が24人、「週3日」が58人、「週2日」が54人、「週1日」が37人だった。要するに、「8割弱の人は会社にちょっとは行きたい」のである。
「自宅の居心地が悪いのか」「会社で自分の居場所がなくなることへの恐怖があるのか」と勘繰ってしまうが、転職相談を受けているキャリアカウンセラーの錦戸かおりさんによると、その内実はさまざまなようだ。
「私が相談者さんから聞いた限りでは、週2日、あるいは週3日ぐらいがベストという人がだいたい半々ぐらいの印象です。住宅事情で仕事スペースが満足に割けないとか、小学生以下の子供がいると騒ぐので仕事にならないとか。あと、サテライトオフィスが自宅の近くにないというケースもあってフルリモートは難しいと考えているようです」
一方で、会社でのコミュニケーションがメンタルヘルスに影響していることも、フルリモートを避ける要素としてありそうだ。錦戸さんも「フルリモートはさびしいという声がよくある」と語る。
「テレビ通話アプリを使って打ち合わせや会議をしていると、雑談のようなちょっとした会話が相当減ります。会社組織でも、実はそうした会話で無意識に相手の人間性を把握していたようなところがあった。他愛ない世間話にも意味があったのだなと、コロナ禍になって初めて実感した人は多いのではないでしょうか」(錦戸さん)
昨今、社員の心理面を重視する「心理的安全性」や社内の意思疎通を企図した「1 on 1面談」といったキーワードがよく取り沙汰される。そうした場面では、社内における指示や教育的なコミュニケーションではなく、お互いがわかり合うための対話が重視される。
社内コミュニケーション量の減少は、特にテレワーク時代においては労使双方にとって課題といえそうだ。テレワークでは欠けがちな対話のようなコミュニケーションを補う仕組みが必要。そんなことも意識しながら転職後の働き方を考えてみるといいかもしれない。
◆取材・文/岸川貴文(フリーライター)
4/25(月) 15:15




コメント